
整理
収納
片付け
私が整理収納に関する講座を開催するとき、必ずこの3つの言葉の意味の説明から始めます。
なぜなら講座が終わった後のアンケートに「言葉の意味が分かると、自分が何に困っているかが分かりました!」という声が多いからです。
つまりそれぞれの言葉の意味を知っているようで、きちんと説明できる方は少ないということなんですね。
整理=必要なモノと不必要なモノを分けて、必要なモノを選び取ること
収納=使うモノを使う場所に出し入れしやすく収めること
片付け=使ったモノを元の場所に戻すこと
イメージを図で表すと、こんな感じになります。
整理の意味とポイント
モノを整理するというと「捨てるモノ・いらないモノ」を選びがちですが、そうではなくて「必要なモノと不必要なモノを分けて、必要なモノを選び取ること」がモノの整理の本当の意味です。
そして選び取るときの判断基準は「使える・使えない」ではなくて「(自分が)使うか・使わないか」です。
(好きなモノ、大事なモノを選ぶ方が分かりやすい方もいます。)
モノの整理の大きな目的は「自分が管理できる量を知る」ことです。
冷蔵庫に賞味期限の切れた食品や調味料はありませんか?
気に入った洋服を買ったら家に似たようなデザインの服があったという経験はありますか?
家にあることを忘れて同じ本を何冊も買ったという経験は?(これは私の家族の実話です)
自分が管理できる量を超えてモノを持っていると、どうしても使い切れずに無駄にしたり持っていることを忘れて二度買いしたりしやすくなります。
そうなると、お金ももったいないじゃないですか。
そうならないためにも、自分が無理なく管理できる量を知り、その量を維持するためにもモノの整理が必要なのです。
とはいえ、「使える・使えない」で選んでしまうと主役がモノになってしまいます。
(「自分は使わないけど、まだ使える状態」というモノをどうしようか…と迷ったことはありませんか?)
だってモノはそう簡単に壊れたりしませんからね。
・好みが変わった洋服や食器
・子供が成長して着られなくなった子供服
・子供が遊ばなくなったおもちゃ
・もう読まなくなった本
など、モノとしてはまだ使えるけれど自分(または家族)は使わないというモノであれば、「自分にとっては不要なモノ」だと思ってください。
(思い出のモノは除きます。)
もし使わないけど捨てられないというのであれば、ひとまとめにして生活の邪魔にならない場所に置いておくだけでも構いません。
大事なのは生活空間を「使うモノ・大事なモノ」だけにしておくことで「自分が管理できる量を知り、維持する」ことです。
モノの整理はとても大変そうに感じるかもしれませんが、これができると8割は成功したようなものです。
それくらい、モノの整理は大事だということです。
収納の意味とポイント
収納とは「使うモノを使う場所に出し入れしやすく収めること」です。
モノの整理で選んだ「自分にとって必要なモノ、大事なモノ」を使う場所、使うペースなどで分けて、よく使うモノほど出し入れしやすい収納にしましょう。
「よく使うモノは出しっぱなしでもいいですか?」
という質問をいただくことがありますが、「置き場所が決まっていてそこに出して置く」ことと「どこでもいいから出しっぱなしにする」ことは違いますのでね。
よく使うモノほど、置き場所を決めておきましょう。
そしてトレイやカゴに入れるなど、少ない動作で出し入れできるようにしておけば、出しっぱなしじゃなくて「見せる収納」の1つになりますよ。
収納場所や収納方法を決めるときのポイントは「面相くさい」を減らすことです。
・フタの開け閉めが面倒くさいなら、フタなしの入れ物にする
・服をたたむのが面倒くさいならハンガーにかける、カゴに投げ入れるなど別の方法を考える
・置き場所が遠くて面倒くさいならモノの数と置き場所を増やす
など、小さな「面倒くさい」ことを減らしていけば片付けのハードルも下がりますのでね。
「これ、いつも出しっぱなしになってるな…」
というモノがある場合は、収納場所か収納方法に「面倒くさい」ポイントがないかどうか?を考えてみてくださいね。
そして収納には必ずラベルをつけておくことが大事です。
自分が分かっているから大丈夫だと思っていても、意外に記憶とは曖昧なもの。
よく使うモノは覚えていても、(電球のストックとか)しょっちゅう使うモノではない場合に「どこに置いたっけ?」となって見つからず、買った後に見つかる…というのはよくある話です。
特に一緒に暮らしている人がいる場合は、ラベルがあれば何がどこにあるかが目で見て分かるので、「あれどこ?」攻撃を減らすことができますのでね。
記憶より記録ということで、ラベルは付けるようにしてください。
ラベルを付けるなんで面倒くさいと思うかもしれませんが、面倒くさいのは最初だけです。
一度つけてしまえば、後はモノや収納の見直しをしたときに付け替えればいいだけなのでね。
ちょっとだけ、頑張ってみてくださいね。
片付けの意味とポイント
片付けとは「使ったモノを元の場所に戻すこと」をいいます。
つまり「元の場所」がないと、片付けることはできないということです。
例えば
食器棚からコップを取り出して飲み物を飲む
↓
コップを洗って水切りカゴに入れる
というのは、一見片付けているようですが違います。
この場合はコップの水気を切って、食器棚に戻して初めて「コップを片付けた」と言えるわけですね。
モノが元の場所に戻っていないと、次に使うときに「あれ?どこいった?」と探さないといけなくなる可能性もありますのでね。
モノを使ったら、必ず元の場所に戻すクセをつけるようにしてくださいね。
そうすることで「いつも決まった場所にある」という状態を維持することができ、モノを探すストレスもなくなります。
人は何かモノを使うときは、少々面倒くさくても取り出すんですけどね。
使った後、元の場所に戻すのが面倒くさいと「後でいいか」とか「また使うし、出しておこう」とか思ってつい、その辺にポイっと置いてしまったりしがちなんですよね。
だからこそ、出し入れしやすい収納は片付けへの近道となります。
先ほど戻すのが面倒くさいなら、その「面倒くさい」ポイントをなくすようにしましょうと言いました。
それは置き場所だけじゃなくて、モノの数も一緒に考えてみてください。
「家を片付けてスッキリさせよう」と思うと、つい「モノは少なく」と思いがちですが、戻す場所まで行くのが面倒くさいのであれば、あえて数を増やすのも1つの方法です。
これを言うと、驚かれる方も多いのですが…
我が家はリビング、キッチン、洗面所だけでもハサミが10個以上あります。
なんなら本棚の上下の棚に1本ずつ置いてあったりもしますし、洗面所だけでも2本あります。
なぜそんなことになったのか?というと、私は面倒くさがりなので、モノを切るときは(ハサミを取りに行くために)ほんの少しの距離でも歩きたくないのです。
だからモノを切る可能性がある場所には片っ端からハサミを置いていきました。
結果、我が家は「ハサミだらけの家」になってしまったということです。
ハサミ以外にも筆記用具とか、爪切りとかね。
使う人が複数いて、それぞれの使う場所が違うのであれば、それぞれの場所に1つずつ置くのもよし。
数を少なくして片付けが面倒くさくなるより、数を増やして楽に片付けられる方がいい場合もあると思えば、肩の荷も楽になるのではないでしょうか。
まとめ
整理=必要なモノと不必要なモノを分けて、必要なモノを選び取ること
収納=使うモノを使う場所に出し入れしやすく収めること
片付け=使ったモノを元の場所に戻すこと
整理、収納、片付けのそれぞれの言葉の意味がお分かりいただけたでしょうか。
整理も収納も片付けも、他の誰でもなく自分自身のためにするものです。
だからこそ
・自分にとって必要かどうか
・自分はどこで、いつ使うか
・自分が出し入れしやすいかどうか
ということを大事にしてくださいね。
きっと、片付けのハードルが下がって暮らしが楽になりますよ。