発達障害と片付けの関連性
発達障害は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害など、さまざまな特性があり、その特性ゆえに片付けが苦手な人が多いといわれています。
発達障害のある子どもが片付けが苦手な理由の一部として
・集中力が続きにくく片付けの途中で違うことをしてしまう
・やるべきことの優先順位をつけることが苦手で片付けを後まわしにしがち
・片付けに興味がなく、取り掛かるまでに時間がかかる
・どこに何を片付けたらいいか分からなくて困っている
・手先が不器用などの理由で片付けるのが難しい
などが考えられ、これらの理由や背景を考慮して片付けやすい環境を整えることで、多くのメリットを得ることができます。
片付けによるメリット
片付けによる一般的なメリットは次のとおりです。
1.ストレスの軽減
片付いた部屋では目から入る情報が軽減され、やるべきことに集中できる、疲れにくいなどの効果があります。
そして「いつもの場所にいつものモノがある」ことによって日々の暮らしをルーティーン化することができ、変化の苦手な子どもたちも安心して暮らすことができるようになります。
2. 作業効率の向上
片付けられた環境は「いつもの場所にいつものモノがある」状態なので使いたいモノがすぐに見つかるため、すぐに作業にとりかかることができます。
また、使いたいモノがすぐに見つかることは忘れ物の防止にもつながります。
3.生活力の向上
衣食住全てのことに関係のある片付けは、子どもの「生活する力」として大きな味方となってくれます。
そして片付けに必要な「モノを整理する力、収納を考える力、片付けを継続する力」はそれぞれ生活に必要な「選ぶ力、想像する力、続ける力」へと繋がっていきます。
効果的な片付けのポイント
発達障害を持つ子どもたちが片付けスキルを身につけるためのいくつかのポイントをご紹介します。
子どもが把握、管理しやすいモノの量にする
モノは多ければ多いほど「収納・管理・片付け」の手間が増え、片付けのハードルが高くなります。
まずは今あるモノを子どもが管理しやすい量に減らしましょう。
子どものモノを
・使っている/使っていない
・好き/好きじゃない
・ないと困る/なくても平気
などで分けて、「使っているモノ、好きなモノ、ないと困るモノ」だけを選びとります。
選ばなかったモノは捨てる・譲る・売るなどの方法で手放しますが、すぐに手放すことが難しい場合はひとまとめにして生活の邪魔にならない場所に移動させるだけでも構いません。
(分けた日付を記入して1年後など定期的にチェックするといいですよ)
子どもが片付けやすい収納にする
・片付けに必要な動作を減らす
・片付けのルールを減らす
などを意識して、子どもが片付けやすい収納になるように整えてあげてください。
どこに何があるかが目で見て分かるようにする
収納にラベルをつけることで「どこに何があるかが目で見て分かる」ようにしましょう。
(ラベルはモノを使うときだけでなく、片付けるときにも役立ちます)
※ラベル=収納の中に何が入っているかを書いたカードやシールのこと
また、片付け方を忘れやすい子どもには片付けの手順を図に書いておくと分かりやすくておすすめです。
まとめ
発達障害のある子どもたちにとって、片付いた環境は、ストレスの軽減、作業効率の向上、生活力の向上など多くのメリットをもたらします。
・子どもが管理しやすいモノの量にする
・子どもが片付けやすい収納にする
・どこに何があるかが目で見て分かるようにする
などを意識して、発達障害のある子どもでも片付けやすい環境を整えてあげてくださいね。
そしてすぐに全部できなくてもどうか怒らないでほしいと思っています。
1つでも片付けができたら誉め、できなくても怒らないようにすると、少しずつできるようになっていきます。
そのためには最初は片付けているところを見せる、次は一緒に片付ける…など、スモールステップで片付け方を教えてあげてくださいね。